人生相談コラム

~ 瞑想シリーズ 第3回 ~

1. 56歳、「何もしない」が怖くなくなってきた

最近、少し変わったことに気づきました。
「何もしない時間」が、前ほど怖くなくなってきたのです。

ほんの数年前までは違いました。
休日でも、何かしていないと落ち着かない。
スマホを手に取る。ニュースを開く。SNSをのぞく。
何かを「している」ことで、安心していた気がします。

でも56歳になった今、毎朝の神社で目を閉じている数分間が、一日の中で一番落ち着く時間になっています。
何も生産していない。何も進んでいない。
なのに、帰り道は頭がすっきりしているのです。

2. 何かしていないと不安だった頃

振り返ると、若い頃はずっと「何かしなきゃ」と思って生きていました。

「この時間、もっと有効に使えるんじゃないか」

「同じ年齢のあの人は、もう次のステップに進んでいる」

「ぼんやりしている場合じゃないだろう」

独立してからは、なおさらでした。
会社員なら、席に座っているだけで給料が出る日もあります。
でもひとりで仕事をしていると、動いていない時間は、そのまま収入ゼロの時間です。

だから手を止めることが怖かった。
何かをしている自分でいないと、自分の価値がなくなるような気がしていたのです。

3. 毎朝の神社で気づいたこと

毎朝4時半に神社へ歩くようになってから、少しずつ変わりました。

拝殿の前で目を閉じて立っている時間。
その間、何もしていません。
仕事のことも考えない。スマホも見ない。ただ立っている。

前回の記事で書いたように、実際には10秒もしないうちに何かを考え始めてしまいます。
昨日の記事で書いたように、欲や煩悩がすぐに浮かんできます。

でも、それでいいのだと思うようになりました。
「何も考えない」は無理でも、「何もしなくていい時間をつくる」ことはできます。
そして、その時間があるだけで、帰り道の気分がまるで違うのです。

スマナサーラ長老の教えから、私が受け取ったこと

心はじっとしていられない。次々に何かを考えるのが心の性質。
それを止めようとするのではなく、「今、何かを考えているな」と知ること。
それだけで、心は少し静かになる。

「何もしない」は、本当は「何もしない練習をしている」のかもしれません。
練習だから、うまくいかなくても気にしなくていい。
そう思えるようになったことが、一番大きな変化でした。

4. 「何もしない」と「怠けている」は違う

「何もしない」と聞くと、怠けている感じがするかもしれません。
でも、この二つはまったく違うものだと思っています。

怠けている何もしない
やるべきことはあるけど避けているいったん横に置いている
気持ちは後ろめたい穏やか
時間の感覚ダラダラと過ぎる静かに流れている
そのあとはさらに動けなくなる自然に動き出せる

怠けているときは、後ろめたさがあります。
「やらなきゃ」と思いながら動けない。それが余計にしんどくなります。

一方で、「今は何もしない」と決めて過ごす時間には、後ろめたさがありません。
むしろそのあとのほうが、すっと仕事に入れることが多いのです。

5. 頭を空っぽにしなくていい

瞑想というと、「頭を空っぽにする」イメージがあるかもしれません。
私も最初はそう思っていました。

でも実際には、頭を空っぽにするのは無理です。
目を閉じた瞬間から、次々に何かが浮かんできます。

  • 今日の予定のこと
  • 昨日食べたものの味
  • ふと思い出した誰かの顔
  • 「そういえば、あれどうなったかな」

浮かんでくること自体は、止められません。
でも「あ、今なにか浮かんできたな」と気づいたら、それでもう十分です。

気づいた瞬間、ほんの一瞬だけ、考えごとから離れています。
その一瞬が、朝の空気や鳥の声を感じる隙間になります。

前回の記事で書いた「10秒も集中できない」のも、昨日書いた「あ、またやってる」も、この一瞬の話です。
たったそれだけのことですが、毎朝続けているうちに、日中の過ごし方も少しずつ変わってきました。

56歳、「何もしない」が怖くなくなってきた
6. 内向的な人にとっての「何もしない」

内向的な人は、ひとりの時間が好きです。
でも「ひとりの時間」と「何もしない時間」は、意外と別のものです。

ひとりでいても、本を読んだり、調べものをしたり、手を動かしていることが多い。
つまり「ひとりで何かをしている時間」であって、本当に何もしない時間は少ないのです。

内向的な人こそ、一日に5分でいいから「何もしなくていい時間」をつくってみてほしいと思います。
場所はどこでもいい。椅子に座って目を閉じるだけでもいい。
散歩の途中で立ち止まるだけでもいい。

生産しなくていい。進まなくていい。
ただ「ここにいる」という、それだけの時間。

56歳の私が毎朝やっているのも、結局はそれだけのことです。

7. よくある質問

Q. 瞑想は何分くらいやればいいのですか?

決まりはありません。私は神社で立っている数分間だけです。「あ、何か考えていたな」と1回でも気づければ、それで十分だと思っています。

Q. 何もしない時間がもったいないと感じてしまいます。

私もずっとそうでした。でも試しに5分だけやってみると、そのあとの仕事の入り方が違うことに気づくかもしれません。「もったいない」と感じること自体が、何もしない時間が必要なサインかもしれません。

Q. 独立して一人で仕事をしていると、立ち止まるのが怖いです。

よくわかります。手を止めたら収入が止まる、という感覚はリアルです。ただ、焦って動いている時間がすべて成果につながっているかというと、そうでもなかったりします。一度立ち止まって、自分の現在地を確認するような時間があってもいいのではないでしょうか。

Q. 人生相談では、こういった心の持ち方の話もできますか?

はい。仕事の悩みだけでなく、日々の過ごし方、気持ちの整え方、独立してからの孤独感など、何でもお話しいただけます。下のフォームからお気軽にどうぞ。

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